グリーンベレーについて

グリーンベレーについて
グリーンベレーについて
 

グリーンベレーとはどういった部隊なのか

グリーンベレーとはアメリカ陸軍特殊部隊の通称で、アメリカ陸軍特殊作戦コマンドの隷下の特殊部隊のことを指す。グリーンベレー(Green Berets)という通称は、これは特殊部隊資格課程を修了し該当部隊に所属する将兵だけが着用を許される緑のベレー帽にちなんでいる。ベレーの記章は「交差した2本の矢の上に短剣、下にリボン」。リボンにはラテン語で「DE OPPRESSO LIBER」(抑圧からの解放)と入れられている。単純にSF(Special Force)と呼称されることもある。陸軍特殊部隊の中でも主に対ゲリラ戦を行う。海外での活動を視野に入れているため、高度な語学教育を受けることでも知られている。
 
ロビン・ムーアの小説とそれをジョン・ウェイン主演で映画化した「グリーン・ベレー」、当時現役隊員だったバリー・サドラー軍曹の歌った「グリーン・ベレーのバラード」、フランシス・フォード・コッポラ監督の映画「地獄の黙示録」、シルベスター・スタローン主演の映画「ランボー」、元隊員の主人公らが活躍する「特攻野郎Aチーム」など、フィクションには頻繁に登場するためか、昔から特殊部隊の中でも特に知名度が高い。
 

 

グリーンベレーの詳細

1961年、ケネディ大統領がフォート・ブラッグを訪れた際、現代グリーンベレーの父と称されるウィリアム・ヤーボロー大将は、兵士に非公認のベレー帽を被るよう命じた。特殊部隊の訓練と能力に感銘を受けたケネディ大統領は、緑のベレー帽を「卓越性の象徴、勇気の記章、自由のための戦いにおける名声の証」として正式に許可した。これによって特殊部隊のシンボルおよび通称として「グリンベレー」が使われるようになった。
 
グリーンベレーは、戦闘部隊であると共に友好国の軍や親米軍事組織に特殊作戦や対ゲリラ戦の訓練を施す訓練部隊でもある。戦時にはハーツ・アンド・マインズ (人心獲得作戦)や現地人で構成されたゲリラ部隊の編制および訓練、指揮などが主な任務である。
近年では、2001年以降続くアフガニスタン紛争において、現地の兵士による特殊部隊APU(Afgan Partner Unit)への戦闘教育などが行われている。
実際に彼らが戦闘に参加する際は、対ゲリラ戦、敵地や敵部隊の偵察・斥候、正規部隊の先導といった突入任務、空挺部隊の降下地点の選定誘導、爆撃機や攻撃機の爆撃誘導など、最前線で後続を確保するための血路を開くことが主な任務となる。
 

 

過去に参加した主な戦争・作戦・事件

1960年代~1970年代:ベトナム戦争
1962年:キューバ危機後の対ゲリラ戦
1980年~:ソ連アフガニスタン侵攻
1989年:パナマ侵攻、パナマでの不正規戦
1991年:湾岸戦争、エジプト軍特殊部隊の訓練、ソマリアで反アイディード派組織の訓練
2001年:アフガニスタン紛争 (2001年-)
2002年:フィリピンにおける不朽の自由作戦
 

グリーンベレーの入隊資格

・自発的な志願者であること
・現役勤務の男性軍人であること
・アメリカ市民であること
・空挺資格保有、または空挺訓練へ志願できること
・ブーツと戦闘服を着用したままで50メートル泳げること
・陸軍一般適性テストで100ポイント以上を記録できること
・陸軍体力テストで229ポイント(17歳~21歳の基準)以上を記録できること
・レンジャー/特殊部隊体力テストに合格できること
・医療健康基準が陸軍規定40-501に合致すること
・秘密取扱資格保有、またはそれを取得できる見込みがあること
・現在のMOS(軍事特技区分)または基本兵科を特殊部隊の陸軍職種区分に変更できること
・飛行士や軍医などある特定のMOSまたは兵科で現在勤務していないこと
・新兵から一等兵はMOSにおける「歩兵」、「火力支援歩兵」のどちらかの資格のみを保有していること
・入隊後、最低36ヵ月間は勤務できること
・以前に特殊部隊を除隊していないこと
・軍法会議を含めて交通違反以外の逮捕歴がないこと
・二親等中に精神異常者や自殺者がいないこと
 
士官
・大尉、または大尉への昇進が決まっている中尉であること
・セキュリティクリアランスにおける最高機密資格の取得基準に適合していること
・将校基礎課程を修了しており、現在の所属兵科及び部隊での勤務成績が優秀であること
・国防語学適性テストの成績が85ポイント以上、または国防語学熟練テストにおけるリーディング/リスニングの成績がそれぞれ1ポイント以上であること
 
下士官
・伍長(または特技兵)以上、1等軍曹以下であること
・高校卒業資格またはそれに相当する資格を保有していること
・現在、教練軍曹または募兵担当でないこと
・入隊後も勤務を続ける意思があること
・現在の所属兵科および部隊から特殊部隊資格課程への参加許可を得ていること
・臨時勤務を命じられている場合、その期間が特殊部隊資格課程の開始を延期しない程度であること
・陸軍人的資源コマンドより義務付けられた海外勤務期間を3/2以上終了していること
・特殊部隊資格課程参加前に現在所属部隊から異動できること
・兵士長課程を修了していること
・他の部隊への配属を希望中でないこと
・陸軍入隊時からの勤続期間が12年以内および現在の階級に昇進してからの勤続期間が9ヵ月以内で、6ヵ月以内に特殊部隊資格課程のための基地移動が可能であり、かつ空挺資格またはレンジャー資格を保有していること
 
訓練課程
特殊部隊員の証である緑色のベレー帽と特殊部隊タブを勝ち取るためには、長く厳しい特殊部隊資格課程を修了しなければならない。Qコースは以下の6段階から構成されている。
第1段階:特殊部隊評価選抜(19日間)
第2段階:語学訓練(18~24週間)
第3段階:個人技能(12週間)
第4段階:専門技能(15~48週間)
第5段階:総合演習(4週間)
第6段階:修了手続きと卒業式典(1週間)
訓練を担当するのはJFK特殊戦センターの第1特殊戦訓練グループで、同グループの教官のほとんどはベテランの特殊部隊員である。